Wednesday, December 20, 2006

流入するアジア資本◆問われる地域連携の真価


韓国・大亜グループが運営する「対馬大亜ホテル」(長崎県対馬市で)

 博多湾に浮かぶアイランドシティ(福岡市東区)の住宅街で、大型賃貸マンション(369戸)の建設が進む。大企業幹部らの入居を見込み、ドーナツ状の建物の中心には居住者専用の中庭も設けられる。
 この高級物件は2008年度に全面完成予定で、シンガポールを拠点とする不動産開発大手・キャピタランドが約80億円で取得する。「福岡は経済、人口ともに成長が見込める」として、商業施設やオフィスにも投資対象を広げる方針だ。
 福岡市中心部では地価が反転し、「欧米の投資会社や東京の開発会社と物件取得を競うアジア系ファンドが目立ってきた」(不動産関係者)。経営破たんしたゴルフ場も韓国資本が次々と買収しており、ビジネスチャンスを狙ったアジアマネーは、九州・山口にも着実に流入している。
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 長崎県対馬市南部の高台に、韓国・大亜グループが運営する「対馬大亜ホテル」がある。入り口には日韓両国の国旗とともに、大亜グループの旗が並ぶ。
 大亜は韓国内外で、交通、レジャー、建設、金融など幅広い事業を手掛け、1999年から釜山~対馬間で高速船も運航している。
 高速船を利用した韓国人観光客の受け皿として、02年に3億5000万円を投じてホテルを建設した。3階建ての施設内には29の客室のほか、レストランや大浴場も備え、05年の宿泊客は前年比1・7倍の1万1000人と増加基調にある。黄聖喆支配人は「観光客の増加が投資を呼び、一段の集客増に結びつく好循環が出てきた」と話す。
 対馬を訪れる韓国人は05年で3万6000人と右肩上がりで伸びている。黄支配人は「対馬は観光投資先としても魅力が高く、未開拓の部分も多い」と語り、大亜グループとしての追加投資の好機もうかがう。
 対馬市は「韓国とのつながりをベースに、地域振興に寄与する投資を呼び込みたい」(観光交流課)と、雇用創出などを通じた経済効果の拡大を見据える。
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 昨年秋、福岡証券取引所の小西雄二専務理事らは中国・江蘇省を訪れた。広東省に次ぎ中国2位の経済規模を誇る江蘇省の政府が、地元企業を将来的に福証へ上場させることを想定し、日本の証券制度などの説明を依頼してきたためだ。
 江蘇省は日本での活動拠点を福岡市に置いている。福証上場の実現には課題も残るが、小西専務は「日本の市場から資金調達するうえでは、アジアに近く、コストも安い福岡の利点が大きいはずだ」とみる。
 自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の進展は、金融や観光といった「サービス貿易」の国境も低くし、投資の自由化を促していく。
 日本は日中韓やASEAN(東南アジア諸国連合)など16か国によるEPAを提唱しているほか、APEC(アジア太平洋経済協力会議)加盟の21か国・地域によるFTA構想も浮上し、アジアを基軸とした市場統合の潮流は一段と加速している。
 アジアの玄関口を標榜(ひょうぼう)する九州・山口――。人材・交易・投資といった多面的なつながりを深め、激しさを増す地域間競争の中で存在感をいかに発揮できるか。経済融合の真価が問われる時代を迎えた。
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丸基不動産
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