Thursday, December 14, 2006
紀伊国屋書店福岡天神店が来春閉店 関係者の思い複雑 店長「チャンスあれば戻る」
来年3月末で閉店が決まった紀伊国屋書店福岡天神店
30年余り福岡市・天神を代表する書店として親しまれてきた紀伊国屋書店福岡天神店(天神コア内)が、競争激化による売り上げ不振から来年3月末で閉店することになり、関係者には複雑な反応が広がっている。同店の撤退は、九州最大の商業集積を誇る天神地区は同時に、全国有数の「流通戦争の現場」であることを物語っている。
同店は、天神の大型書店の先駆けとして1976年6月に開店した。45年間天神に通勤している会社員、中村善恭さん(68)=同市城南区=は「以前は紀伊国屋にしか置いてない本も多く、来るのはここばかりだった。最近は同規模の書店も増えましたし、しかたがないんですかね…」。
同区の主婦(30)は「高校・大学生のころに参考書をそろえたのも、デートの待ち合わせをしたのも紀伊国屋でした。天神はほかにも書店はあるので不便にはならないのでしょうが…」と、寂しさを隠せない。
天神コア内の飲食店の福嶋慶浩店長(29)は「残念です。コアといえば紀伊国屋だったから。ワンフロアまるごとの入れ替えになりますし、次はどんなテナントが入るんでしょうか?」と、気掛かりな様子。天神コアを運営する西日本鉄道によると「次のテナントはまだ決まっていない」。
また、別の飲食店マネジャーは「紀伊国屋帰りのお客さんが、うちの店に流れてきているという印象があるのは6年ほど前まで。最近は、お客さんが減っているのかな、と感じていました」。
一方、競争相手ですぐ近くに立地するジュンク堂書店福岡店の川島秀元・副店長(32)は「うちと紀伊国屋、丸善(福岡ビル店)の天神の3店で、得手不得手を補完し、『天神に来れば探している本は何でも買える』とお客さんに喜ばれてきた面もあるので…」と、言葉を選んだ。
さらに、地元出版社である海鳥社(同市中央区)の別府大悟編集長は「紀伊国屋は売れ行き動向や次のトレンドを探る『基準店舗』だった。地元の人の自費出版本や同人誌も置いてくれ、業界最大手でありながら、地元に根付こうという思いが伝わってくるお店でした」と振り返る。
こうした声に、紀伊国屋書店福岡天神店の林英一店長(49)は「常連のお客も多い店舗だったので残念ですが、3月までは30年の感謝を込め、お客さまをお迎えするつもり。チャンスがあれば、また天神に戻ってきたいと思っています。そのときは期待して下さい」と話している。
=2006/12/14付 西日本新聞朝刊=
2006年12月14日12時34分
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