Monday, December 11, 2006
福岡が1点に泣き屈辱のJ2降格
福岡は神戸にアウエーゴールの差で昇格を許す。DF宮本もピッチ上に座り込む
<J1・J2入れ替え戦:福岡1-1神戸>◇第2戦◇9日◇博多球
福岡がまたもJ1から陥落した。J1・J2入れ替え戦第2戦(博多球)で、神戸に1-1で引き分け。第1戦に続く通算2分けだが、今年から適用されたアウエーゴール方式で神戸のJ1昇格が決まり、2度目のJ2落ちとなった。開幕時から言われ続けた決定力不足が最後まで解消されず、解任された松田浩監督(46)率いる神戸相手にあと1点が取れなかった。J1残留を託され、今季途中から就任した川勝良一監督(48)は試合後、辞意を表明した。
博多の森に、悲鳴が響いた。1-1で迎えた後半ロスタイム。神戸GK荻がゴールラインぎりぎりでボールをかき出した。決勝ゴールと思われたが、1点取ればJ1残留が決まる福岡イレブンの思いとは裏腹に、主審の判定はノーゴール。それから2分後、2度目の降格を告げる笛が鳴った。DF千代反田が、FW田中が、そして、チーム最年長のFW布部が泣き崩れた。「すべては私の無力。すみません」。J1残留の使命を負い6月に就任した川勝監督は何度もサポーターに深々と頭を下げた。
怒とうの反撃も及ばなかった。0-1の後半39分。MF古賀の左CKをDF千代反田がつなぎ、最後はFW布部が頭で突き刺した。だが1-1の引き分けではJ1に残れない。ラストプレーのFKではGK水谷も前線に詰めたが、ゴールは遠かった。リーグワーストの32得点と深刻な決定力不足に苦しんだ今季。最後も1点に泣いた。「これが現実。監督が代わって点を取ろうというチームになったが、2試合で1ゴール。今年を物語っていた」。GK水谷はそう振り返った。
5年ぶりに復帰したJ1で開幕から12戦1勝。規律を重んじた組織力の松田前監督を解任し、1対1の個人の能力を基本にした川勝監督を招へいしたが、就任から11試合未勝利。180度転換と成績不振に、選手は戸惑ったが、試合前夜のミーティングでは1人1人が決意表明することで「自分にプレッシャーをかけてきた」とMF薮田。選手の自主性もあって、入れ替え戦切符まではつかんだが、最後に力尽きた。
6月の沖縄・石垣島キャンプ。脳性まひと闘う島内慈温くん(小2)がキャンプ地を訪れ、選手もサインボールを贈るなど交流が始まった。自動降格の危機にあった9月に「ぼくはがんばっています。いっしょにたたかいましょう」と激励のメッセージを受けた。決戦2日前の8日未明。再び同じメッセージが届けられ、クラブハウスに掲示された。選手の心を奮い立たせたが、島内君の思いにも応えられなかった。
1年でのJ2再降格。皮肉にもこの日、神戸の指揮官として対戦した松田前監督の「組織力」の前に敗れた。J1残留という目先の目標だけにしがみつき、選手育成型の方針も覆したクラブの責任は重い。「5年先、10年先。中長期的視野に立って来季体制づくりを進めたい」。そう話す都筑興社長(65)だが、試合後のセレモニーでは、あらかじめ用意したメッセージを淡々と読み上げるあいさつを行い、サポーターから大ブーイングを受けた。5年ぶりのJ1復帰で、別れを告げたはずのJ2。積み上げてきた経験を生かしきれなかった福岡が、再び苦闘の道に戻った。【村田義治】
◆2度目のJ2降格 98年のJ1参入決定戦で、当時1部制のJから、新設のJ2に降格した札幌が、再昇格2年目の02年シーズン後に再降格したのが最初。00年、03年に2度、降格している京都は今年、リーグ初の3度目の降格が決定。01年以来、2度目の降格が決まった福岡は、リーグ3チーム目の屈辱となった。
福岡DF吉村(戦力外通告を受けながらプレー)「実力がなかったわけではないが、5勝しかできなかったのは事実。10勝できるチームになる必要がある」
福岡DF宮本(入団した01年に続く、2度目の降格)「サポーターに申し訳ない。(残留の)目標を達成できてないし、それを受け止めないといけない」
[2006年12月10日8時58分 紙面から]
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