最近オープンして話題の三井不動産が手がける都心型複合施設ミッドタウン。
<http://www.tokyo-midtown.com/jp/>
2001年9月に六本木防衛庁跡地を三井不動産グループが1,800億円で次位の三菱地所と500億円の差をつけて落札し、用地取得から約5年半となる今年3月30日にオープンしました。http://www.mitsuifudosan.co.jp/project/tokyo_midtown/
2001年といえば、不動産業界はもちろん日本の経済界は不況真っ只中。地価下げ止まりの兆候もなく、しかも三井不動産は6年連続赤字を計上するなど、巨額の不良債権を抱えた状況でした。
もちろんそのように、いつ経営破たんしてもおかしくないようなデベロッパーに融資できる余裕ある金融機関もない現実と戦いつつも、東京最後と言われる「優良、且つ、大規模な不動産」をどうしても手に入れたい姿勢は決して崩さなかったのが、入札当時社長就任3年目であった三井不動産株式会社代表取締役社長の岩沙弘道氏。社長挨拶
<http://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/about_us/president/>
そこで三井不動産がとった手段は、プロジェクト自体を証券化し、5つの機関投資家に働きかけて、資金運用先として出資してもらうという「共同事業」のスキームです。参加したのは全国共済農業協同組合連合会、安田生命保険相互会社、積水ハウス株式会社、富国生命保険相互会社、大同生命保険相互会社の6社で落札費用の1,800億円を集めたのです。
参加した機関投資家は東京ミッドタウンというプロジェクトに出資し、企業やテナント、住人の賃貸収入から生まれる利益からリターンを受け取るという仕組みです。更に掘り下げると、三井不動産は国民自身が機関投資家に預けている個人の資金を集めて都市再生に活用するという新しいファイナンスを実現したことになります。
このようにリスクを個人レベルまで分散することで、土地取得代金が1,800億円、建築費用が1,900億円、合計で3,700億円巨額の都市開発が実現したのです。 総工費3,700億円の内、三井不動産の出資額は40%で1,500億円。三井住友銀行とみずほ銀行から900億円融資を受けているので、残りの1,300億円が機関投資家からの出資という計算になります。
この仕組みこそが東京ミッドタウンを支える最も注目すべき仕組みであり、これから三井不動産が、このプロジェクトのすべてを取り仕切って得たノウハウで、様々なプロジェクトを仕掛け始めるのでしょう。
ちなみに。こういった背景にある国有地を売却した側である当時の大蔵省(現:財務省)の見識も必見。なるほど、こういった事情があった中での対策が、あのスキームか、と理解できます。
落札より1年間にになる2000年9月29日に国有財産の売却等に関する小委員会において「国有財産の使用状況実態調査等の調査結果について」「証券化条件付入札の結果について」を報告と質疑応答がなされた議事録です。
何やら難解な用語が並びますが、要は入札形式や最低価額の付け方、入札における条件をつけてどういう結果だったのか、が議論されたものです。当時を振り返って、どのような状況であったのかがわかり、とても興味深い資料です。
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平成12年9月29日≪第13回国有財産中央審議会国有財産の売却等に関する小委員会議事録≫~以下一部抜粋
○木原委員長 証券化条件付入札の結果について、御発言がございましたら。
○定森委員 六本木というのは、場所的に例の防衛庁の跡とは関係ないのですか。
○中村国有財産第二課長 違います。防衛庁のあたりは六本木7丁目です。 これは六本木3丁目ですので、飯倉の高速の入路のそばのあたりです。表通り から少し入った所なんですけれども、昔、郵政省の宿舎がありました所でして、 少し奥まっています。
○吉野委員 これは、具体的に、物件番号1の方は、用途はどういう形になって いるんですか。
○中村国有財産第二課長 用途といいますか、どういうふうに使うかは、 落札した業者が考えて。
○吉野委員 まだ決まっていないんですか。
○中村国有財産第二課長 決まってございません。おそらく場所的には、 マンションが中心になるのだろうと思いますけれども、具体的にどう利用する のかというのは、それこそ証券化の腕の見せ所の一つだと思います。
○吉野委員 この証券化の対象にした物件というのは、何か基準がありました のでしょうか。
○中村国有財産第二課長 ある程度の面積がないと、収益が上がるような物件 になりませんので、そこは、どういったものが対象になるのかというのは、事務 当局としていろいろと勉強しまして、いろいろな業者からヒアリングして、比較的 証券化になじみやすい、ある程度ロットの、ここで御覧いただきますように、 未利用地で言えば全て1千平方メートル超えて、形にもそれなりによくて、場所 もいわば交通の便がいい所を中心に選定しております。
○定森委員 もともと証券化にしようという条件をつけての売却ですね。これは、 どのような趣旨でこのような売却の方法をお決めになったのでしょうか。
○中村国有財産第二課長 1つは、証券化をすることによりまして、幅広い投資家が 参加できるのではないかということ。それが、結果的に売却の促進につながると いうのが一番大きな理由でございます。それから、物件番号2番のような、これは マンションで、入居者がいるようなマンション、これを通常の形で売ろうと思うと、 なかなか難しいのですけれども、これは、証券化することによって売りやすくなる ということで、対象物件も幅も広がる。売却できるような物件も広がってくるという ことを考えまして、証券化という方式を選んでおります。
○定森委員 物件に応じて、どちらの方で行うかということを決められるわけですね。
○中村国有財産第二課長 そうですね。いわば実際に売りやすい方式を選んで やっていくしかないのではなかろうかと思っております。こういう場合はこうだと いうステレオタイプに決める必要はないと思っております。
○吉野委員 これも、やはり最低落札価格はどのように設定したのですか。
○中村国有財産第二課長 そこは、それぞれ鑑定士に頼みまして、鑑定していた だいております。
○吉野委員 このSPCは、要するに完全に業者の方がリスクをとっているやり方 ですよね。だから、相当大変だったんじゃないかと思うのだけれども。
○中村国有財産第二課長 そういう意味で、先ほど御覧いただきましたように、 通常、入札の公示から入札まで20日間しかないのですが、今回は3カ月とって いますので、その物件を見て、どの程度のリスクを提起できるのかということを 検討できる余裕は十分あったのだろうと思います。
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このようなやり取りが全て財務省のWEBサイトでご覧いただけます↓http://www.mof.go.jp/singikai/kokuchu/gijiroku/baikyaku13.htm
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